体力がある企業は高い賃金を支払うべきか

少し前、共産党の小池晃副委員長がワタミグループの居酒屋が最低賃金でアルバイトを募集していることに対し、「十分に体力がある大企業が最低賃金ギリギリで雇用しているような状態を放置していいのか」と安倍首相に迫ったことが話題になりました。

このことに関して、ワタミの労働環境のブラックっぽさは気になるものの、民間企業の給与体系に政治が直接口出しするのもいかがなものか、と頭がモヤモヤしていました。

要は労働内容と賃金のバランス

これに対して、吊られた男さんの以下の2つの記事を読んで、モヤモヤが少し晴れた気がしました。

吊られた男の投資ブログ (インデックス投資) : 「体力ある大企業のワタミが最低賃金で募集がダメ」と言う奴こそ労働者の敵
吊られた男の投資ブログ (インデックス投資) : 賃金が安いことは問題ではなく、労働に対して安すぎることが問題

要は支払い能力に余力があるから賃金を高くすべきなのではなく、労働内容と賃金の釣り合いがとれているかどうかの問題なんですよね。

吊られた男さんも記事中で書かれているように、誰でもできるような簡単な仕事であれば、賃金が安いのはやむを得ないことです。

一方、ワタミがアルバイトに求めていた仕事がどのようなものだったのか詳しくはわかりませんが、仕事が忙しくてまともに食事をしている暇がない、あるいは仕事が深夜にまで及んで疲労が日々蓄積していくような仕事であれば、最低賃金で見合う仕事とは思えません。

賃金の相場をいかに上げるか

そうはいうものの、賃金には相場があります。居酒屋業界全体が最低賃金ギリギリの水準を当然としているのであれば、従業員全員が一斉にストライキでもしない限り、労働と見合っていなくても賃金は上がりようがありません。

先の小池晃副委員長の質問に対し、安部首相は「最低賃金に張り付いている企業が人材が集まらないという状況をつくっていくなかで、待遇あるいは職場環境の改善に努力を傾注していかなければならない」と答えたそうです。

一般論としてはまさしくその通りで、最低賃金では人が集まらないという状況を作らない限り、この問題は根本的に解決しそうにありません。ただ問題は、それを実現するための具体的対策が見えてこないことです。

おそらくこの問題は政治の力だけで解決できるものではありませんし、かといって企業努力を促すだけで済ませられるものでもありません。

今のところ多くの企業は固定費の最たるものである従業員の賃金を削って利益をつり上げることしか考えていません。しかし、これは結果的に消費者の購買能力を引き下げ、巡り巡って自分の首も締めていることに他なりません。

なんとかこの負の連鎖を断ち切り、英断をもって労働に見合う賃金を支払う企業が報われる状況を作る政策を期待したいところです。

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