先日、持ち家を買うのは賃貸に住みながら不動産投資しているのと大して変わらないという話を書きました。
その中で示しました持ち家を表す2つのモデルについて、違和感があるとかなりの方からコメントを頂きました。
今のところ決定的な問題点の指摘は頂いていませんが、今日はこの点についてもう少し考えてみます。
前回のおさらい
前回の話を簡単にまとめます。
橘玲氏の「住宅購入は不動産投資である」という言葉から、持ち家を以下のようにモデル化しました。
家を買った家主が、自分自身に家を貸し出しているという考え方です。これを「モデル1」と呼ぶことにします。
これに対して私は、「自分は他人から借りた家に住みつつ、自分が買った家は他人に貸している(2つの家は同等、かつ借り手は必ず付くものとする)」と考えても、金銭的には持ち家と同等ではないかと考えました。
これを「モデル2」と呼ぶことにします。
定性的な検証
まず2つのモデルを定性的に言葉で表現して矛盾が無いか確かめてみます。
モデル1は
- 家を購入してその維持費を支払うことによって
- 家賃は自分から自分に支払うことになるので、実質的に家賃を支払うこと無く
- 家に住むことができる。
- ただし購入した物件の価格変動リスクを背負う。
ということになります。
これに対してモデル2はどうなるかというと、
- 家を購入してその維持費を支払い、その家を貸し出すことによって
- 借り主から受け取った家賃をそのまま家主に引き渡すことで、実質的に家賃を支払うこと無く
- 家に住むことができる。
- ただし購入した物件の価格変動リスクを背負う。
となります。とりあえず、論理的に矛盾している点は見当たらなさそうです。
違和感の正体(仮説)
しかし実際には、モデル1の方がモデル2より得になるはずだと考える方が多数現れました。
その原因は何かと考えた時、行き着いたのは「持ち家は家主に利益を取られないので得である」というよく聞く話です。
しかし考えてみると、これは持ち家と賃貸を比較した時の話です。家主に利益を取られて損をするのは他人から家を借りている借主です(金銭的には損をしますが、その分家主は価格変動リスクや天災リスクを背負っていますので、実質的にはどちらが損とも得とも言えませんが)。
一方、今回の話は持ち家に関するモデル1とモデル2の比較です。
モデル1では家主も借主も自分ですので、利益分は自分から自分に渡ることになり、損も得も発生しません。
モデル2では、借り主から家賃を受け取った時点で利益が発生し、家主に家賃を支払った時点でその利益が打ち消されますので、やはり利益分について損も得も発生しません。
このように利益分についてはいずれのモデルでもゼロにバランスしています。
しかし「持ち家は家主に利益を取られないので得である」という直感(先入観)が、自分しか登場しないモデル1の方に強く作用することが、今回の違和感の原因ではないでしょうか。
違和感の正体ですが
効率的市場仮説が不動産市場で成立すると
考えるか否かってことだけじゃないですかね