ロボットで労働人口問題を解決するのは無理がある

以下の記事を読みました。

孫正義氏が掲げる労働人口「1億人構想」–復活の鍵は“ロボット” – CNET Japan

孫正義氏が法人向けイベント「SoftBank World 2014」で、製造業人口の「1億人構想」を語ったということですが、今日はこれについて考えてみます。

産業ロボット3,000万台で労働力9,000万人分?

単純に数値の部分だけ見ると、以下のような話のようです。

1日24時間働くロボットを8時間働く人間の“3人分”と考え、産業ロボットを3000万台導入すれば労働力は9000万人分に相当すると説明。現在、約1000万人いる日本の製造業の労働人口と合算すると1億人分になるというものだ。

またこれに対するコストについては、以下のように試算しています。

ロボットを1体100万円と仮定して5年で減価償却した場合、平均月額賃金は日本が25万円、中国が7万円であるのに対し、ロボットは1万7000円で済むことから人件費の問題も解決できるのではないか

高々100万円ぽっちのロボットが、人間と同等の仕事を時間的にもコスト的にもメンテナンスフリーで5年間もこなし続けられるという前提自体にかなり無理があるような気がします。

それに、万一これが画期的な技術革新によって可能になったとしても、さらに決定的な問題があります。

日本のロボットを使う必然性がない

それは、そんなに役に立つロボットがあるなら、日本にあるロボットに仕事を頼む必然性が無いということです。

きっと、世界中の企業が自分でそのロボットを買って、低コストの労働力を活用しようとするでしょう。その結果は、更に激しいグローバルな労働力のコスト競争を招くはずです。

その中で、日本のロボットだけが優位性を保つことができるでしょうか?結局、ロボットで労働力だけは確保できたとしても、その需要自体が減ってしまう恐れが浮上します。

もしソフトバンクが本当に画期的な低コスト高性能ロボットの開発に成功し、日本の国益を守るために海外には絶対売らないとぶち上げてくれれば可能性はあるかもしれませんが、金にうるさい孫さんがそんなことをしてくれるとも思えませんしね。

つまり、ロボットは世界の労働人口問題は解決してくれるかもしれませんが、「日本だけ」の労働人口問題を解決してくれる保証はないということになります。

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