持ち家が良いか賃貸が良いか、というのは未だに各所で定期的に議論になる永遠のテーマですが、私は今のところ賃貸派です。
といっても何が何でも誰にでも賃貸が絶対良いなどと主張するつもりはなく、各人が自分の状況・嗜好などに合わせて良いと思う方を選択すれば良いことだと思います。
歳をとると家は維持するだけでも大変
持ち家・賃貸議論の中で持ち家派の人が良く主張するのが、住宅ローンさえ払い終われば終の棲家が手に入って老後の住居の心配が無くなる、というものです。
ところが最近、少なくとも夜間は実家で母親と過ごすことが多くなってきて、それほど単純な話ではないなということが見えてきました。
確かに持ち家でローンが終わっていれば、定期的に出ていくコストは固定資産税くらいで金銭的な負担は賃貸より少ないように見えます。
しかし家も古くなってくると、当然あちこちにガタが出てきます。問題や不満が発生した時には、それらをすべて自力で解決しなければなりません。
たとえば私が実家で母親と半同居生活を始めた去年末以降からだけでも、実家では以下のような問題が発生しました。
- 電気給湯器が壊れて湯が出なくなった
- 天井などから何か生き物が侵入したような物音がする
- 洗面台の排水口が詰まってよく流れなくなった
- 庭木が育ちすぎて隣家にはみ出した
たとえ家が自分のものであったとしても、これらのことに一つ一つ対応していかなければ健康的な生活は送れません。
もちろん十分な行動力・判断力がある世代であれば、これらのことに個々に対処するのはそれほど難しくはありません。しかし高齢になると、それもだんだん難しくなってきます。
実際上記のうちの実家で発生した事例についても母親だけでは対処しきれず、ほとんどを私が手配したり手伝ったりして解決してきました。
少なくとも「家さえ持っていれば老後の住まいは安泰」というわけではないのです。
賃貸は住まいのコンシェルジュサービス
一方賃貸はどうかと考えてみると、少なくとも住居の基本機能の瑕疵となる雨漏りや内装・外装の破損、水回りや電気・ガス系統の不具合などについては管理会社が面倒をみてくれますし、共用スペースなどの掃除・メンテナスも原則勝手にやってくれます。
いわば電話さえすればいつでも駆けつけてくれる住まいのコンシェルジュサービスを雇っているようなものです。
もちろん使用方法に過失があって発生した問題や消耗品と見なされるものについては実費を請求される場合もありますし、そもそも家賃にはそういうサービスを行うためのコストも上乗せされているのでやや割高になっているというのも事実でしょう。
しかし全てを自力で解決しなければならない持ち家に比べると、格段に安心感があるのは確かです(特に高齢で頼れる子供などが居ない場合には)。
そう考えると、歳をとっても借りられる家が見つかるという条件が満たされる限りは、賃貸という選択は案外高齢者とも相性が良い気がします。
高齢で貸してくれる家が見つからないという事態に陥る可能性につては、その時の年齢にもよりますが、いっそのこと一気に老人ホームや高齢者向け住宅に入居してしまうという道筋もあるかもしれませんしね。
どんなに家を買っても最後は老人ホームに入るのだから賃貸生活に戻るようなもんだって言ってた人もいますね。
最後の最後までしゃっきりして家の管理を全部ひとりでもできるはずだと思ってる人は考え直したほうがいいと思います。
持ち家のほうがコスト的に良いってのはそれ前提での話ですもんね。