日本の雇用環境、やっと改善の兆しか?

最近、代表的なブラック企業と目されている企業が人材不足や収益悪化で深刻な状況に立たされているという情報が立て続けにリリースされています。

転機を迎えるブラック企業

すき家

たとえば、こちら。

すき家 人手不足・従業員の負担増認める/「労働環境改善します」

このブロクでも以前にやはりすき家の値下げ宣言には無理があったのかで取り上げましたすき家の連続閉店問題です。

当初は相次ぐ閉店はパワーアップリニューアルのためと強弁していましたが、結局人手不足や従業員の負担増がその根底にあると認め始めたようです。

発表では「従業員の負担増が深刻化したことを重く受け止めており、店舗の労働環境改善を経営の最重要課題に設定しました」と述べているようですが、具体的な動きは人員募集時の泥縄的な賃金の引き上げ以外にはまだ見えていません。今後の動きに要注目です。

ワタミ

外食業界ではすき家と並んで労働環境の過酷さが語られるワタミですが、こちらも上場来初の赤字に転落したようです。

ワタミの前期、上場来初の最終赤字 :業績ニュース :企業 :マーケット :日本経済新聞

2014年3月期の連結最終損益が前年同月期35億円の黒字に対して今年は49億円の赤字とのこと。黒字が赤字に反転してもまだマイナスが足りないということですから、相当なものです。

またこちらも、労務環境を改善し慢性的な人手不足を解決するために居酒屋の1割にあたる60店を閉店したとのこと。やはり、人が集まらなくなっているようです。

ユニクロ

一方、ユニクロのファーストリテイリングは人材不足に先手を打って、パート・アルバイト社員約3万人のうち1万6千人を地域限定の正社員にする計画を発表しました。

ユニクロの決算書、「ここ」がヤバかった! 正社員1万6000人増加の真相とは?

正社員化といえば聞こえは良いですが、代表取締役会長兼社長の柳井正氏がこの件について社員に行った演説では以下のように語ったとのこと。

「『全員経営』ですから、全員がトップの経営者のつもりで働いてもらいたい。我々はサラリーマンや時間給をもらうような人はいらない。経営者の代理として考え、仕事をすることが大事です」

これを見る限り、正社員化の代償として賃金に見合わないほどの高い成果やノルマを求める気満々のような気がしてなりません。

今後も予断を許さない状況

以上のような情報を見る限り、ブラック企業と呼ばれる企業が今まで通り安い賃金で非正規社員を使い捨てするというビジネスモデルでは、もはや存続できなくなりつつあるのは確かなようです。

ただし、人を集めるための形式的な賃上げや正社員化だけでは安心することは出来ません。ブラック企業の本質は、このような制度的な変更だけでそう簡単に改まるものではないのです。

よく非正規社員は雇用の安全弁と言われますが、正社員を極限までこき使うことで安全弁としている例を私も身をもって体験しています。

たとえ正社員となっても、サービス残業や法外なノルマ・成果の押し付け、有給休暇の取得制限などが横行しているようでは真の雇用環境改善とは言えないでしょう。

たとえ正社員になっても、そのような不当な扱いが続けばその会社に見切りをつけて他の会社に移れるという状況が実現されるまで、まだ道のりは長そうです。

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