以下の記事を見てなるほどと思いました。
人手不足の正体を追え!~どうしてすき家では時給を上げてもバイトが集まらないのか?~ – とある青二才の斜方前進
曰く、
すき家に人が集まらないのは根本的に「信用がない」からの一言に尽きる。
なぜブラック企業に人手が集まらないのか
先日、このブロクでも日本の雇用環境、やっと改善の兆しか?でブラック企業に人手が集まらなくなりつつあることをお知らせしました。
もちろんアベノミクスなどによる景気回復で雇用の需要が増え、業界全体的に人手不足というのはあるでしょう。しかしそれだけでは、同じような業態の企業が複数ある中で、特定の企業だけ突出して人手不足になる理由にはなりません。
そこで出てくるのが上の記事で書かれている「信頼」です。
今、ことさらに人手不足が深刻になっている企業は、人件費を抑制して極限まで従業員を働かせることで利益を挙げることに特化した会社であり、以下のような特徴があります。
- 業務委託などの名目で働いた分だけ給料を払わない
- 自主研修と称する、やりがいなどのメルヘンを語る、やらないと他の人が迷惑する雰囲気を作るなど、様々な手法で業務時間外に働かせる
- たとえ給料が労働時間分出ても、業務内容がそれに吊り合わないくらい過酷
- 機械化など、従業員の負担を減らすことにコストを掛けない
つまり、デフレ時代に従業員を生かさず殺さずこき使うことでコストを下げ、利益を上げる手法を極限まで追求した企業たちです。
しかしインターネット時代の現在、そのような情報は口コミを通して急速に広まります。そこにはスポンサーの都合を配慮するマスコミのような遠慮は一切ありません。
それによって信頼を失った企業は、景気回復局面で従業員と顧客を同時に失うことになります。しかし、あまりにデフレ時代の収益化に特化したため、変わりつつある今の状況に対応するノウハウがなく、有効な手が打てないのです。
これは、環境変化について行けずにもがいている恐竜のようにも見えます。
ブラック企業がやるべきことは
このような状況でブラック企業がやるべきことは、小出しの賃上げで人を釣ろうとすることや、名目的な正社員化で人を囲い込むことではありません。
もちろん以下のように、イメージの落ちた経営理念や店名を書き換えることでもありません。
ワタミ、経営理念「24時間死ぬまで働け」撤回 でも中身は変わっていない?
そのような表面的な手法で一時的に人をつなぎ止めたとしても、内容が伴っていなければまた同じことの繰り返しになることは目に見えています。
これからの時代を継続的に生き抜くには、まさしく従業員の「信頼」を取り戻さなければなりません。つまり、言葉だけのメルヘンではなく実を伴ったやりがいや、ここで働けばそれに見合った報酬が手に入るという安心を与える必要があります。
そのためには、今まで以上に人や機材にコストをかけつつ利益も確保するという、今までのノウハウが役に立たない難しい舵取りが必要になります。デフレ時代の恐竜にそれができるかどうか、これから経営陣の真価が問われます。
ブラックといわれる企業の中でも、ワタミのような居酒屋だと、何人かで行くことが多いので、「あの企業はブラックで・・・」と一人でも言い始めたら、「じゃあ違う店にするか」ということになり、顧客離れが急加速しそうですね。
といっても、実際の労働条件は、その他の同業種も大差ないと思いますので、全体的に賃金引上げが避けられない状況になっていると思います。
低賃金労働が底上げされるという面では良いことだと思いますが、業種を問わず、最近の決算発表で利益予想があまり伸びないのは、賃金その他コスト増が色々と発生しているということだと思います。
コスト増を価格転嫁しにくい状況があるということに加えて、求人倍率が改善したといっても雇用の質が改善せずに低賃金労働の求人が多いということになりますと、ディスインフレという面も多少あるのでしょうね。