昨日のその持ち家推奨、ちょっと楽観的過ぎませんか?の続きです。
持ち家派の人と話していて少し不思議だったのは、不動産相場の変動リスクに関する言及がほとんど無かったことです。
初めは買ったら一生住むということを前提としてそのリスクをヘッジするという話なのかと思いましたが、聞いてみたら住み替えても大丈夫と言われるので、どうもそういう話でもないようです。
不動産相場変動の影響
持ち家派の方が語る持ち家の最大のメリットは
- 期間限定の支払いで資産が手に入る
ということで、賃貸の最大のデメリットは
- 資産にならないお金を生涯支払続ける
ということなわけですが、これらが不動産相場が変動した場合にどういう意味を持つのかについて考えてみます。
不動産相場が下落した場合
持ち家を買ってから不動産相場が下落した場合、たとえローンを払い終えたとしても、その時手元に残るのは買った時より経年劣化分以上に価値の減った高値掴みした物件です。
途中で住み替えるにしても、買った時より相場が下落していれば手放す時に損失が発生します。
これでは支払いが終わって資産が手に入るとしても、それをメリットとは呼べません。
一方賃貸の場合は、不動産相場が下落すれば通常家賃相場も下落しますので、家賃を払い続けていることによって相場下落をメリットとして享受できます。
不動産相場が上昇した場合
もちろん、相場の動きが逆なら立場も逆転します。
持ち家を買ってから不動産相場が上昇すれば、ローンを払い終えた後に含み益を持った価値ある物件を手にすることができます。
住み替えの場合も、手放すことで利益が発生し、楽々住み替えることができます。これらは明らかに持ち家のメリットです。
一方賃貸の場合は、不動産相場が上昇すれば家賃相場も上昇しますので、当初より割高な家賃を延々払い続けるというデメリットを被ることになります。
投資と考えると
以上のように、家を買うという行為も家賃を払い続けるという行為も、不動産相場の変動次第でメリットにもデメリットにもなり得ます。
投資で例えると、家を買うという行為は時間的にも対象的にも分散されていない1物件への一点集中投資ということになります。
物件の選定や相場変動の読みを誤らなければ大きな利益が期待できますが、逆に読みが外れれば大きな損害を被る可能性もあります。
一方賃貸は、支払いが分割されていますし住み替えも自由ですので、時間的にも対象的にも分散された長期分散投資と見ることができます。
支払い額は相場に追従して変動しますので、相場が上がるにしても下がるにしても、支払う総額は支払期間全体を通した平均レベルに収束していきます。つまり大儲けもしないが大損もしないということです。
ただし、自分で買うというリスクを取らないために、若干手数料(=大家の利益)を取られます。
さてここまで考えた時、人生で一二を争う高額な買い物である家に関して、あなたはどちらの方法を選択されますでしょうか。
自分の読みに自信があれば一点集中投資で一発勝負を挑むのも良し、そうでなければ長期分散投資で地道な道を歩むのも良し、答えは人それぞれだろうと思います。
不動産価格が上昇するなら持ち家有利、下落するなら賃貸有利ということですね。30年先の地価を読みきれると豪語する人も少ないでしょうから、やはり立場は中立…?