「賃貸で一生家賃を払い続けても手元に何も残らない」
これは持ち家派の人が賃貸の人によく言う決め台詞ですね。
はたしてこれは本当なのでしょうか? それが今日の話題です。
そもそも比べる対象が間違っている
今までも、賃貸だって住居以外の部分で資産運用はできるはずなので、何も残らないはずは無いとは漠然と思っていました。
しかし、持ち家という対象が家に住むという消費の部分と不動産投資という資産運用の部分が入り交じった存在であるため、持ち家と比較した場合の賃貸における資産運用という側面をなかなかスッキリ説明することができませんでした。
しかし先日の持ち家を買うのは賃貸に住みながら不動産投資しているのと大して変わらないで持ち家を以下の構図で考えられることに気がついたことと、
持ち家について山崎元さんも同じことを言っていたで書きました山崎元さんの
住宅を買い、そこに住んでいるという状態は、意味合いとしては「家賃を配当してくれる株」を持っているということだ。
という言葉から、頭の中がスッキリと整理できました。
つまり、持ち家派の言う賃貸は上の図における左側の三角の部分(家に住むという消費の部分)のみを言っているため、賃貸で手元に資産が残らないのはある意味当然なのです。しかしこれは、持ち家と賃貸を比べるには妥当な比較方法ではありません。
持ち家と賃貸の正しい比べ方
資産形成という点も含めて考えるならば、賃貸を左側の三角だけと考えるのでは不十分です。
賃貸の場合は住居を購入しませんので、その購入費・維持費に相当する資金を別の投資資産に投資することができるのです。
したがって、上の持ち家の図に対応させて資産形成という点も含めた賃貸の図を書いてみると、以下のようになります。
持ち家と賃貸の本当の差は、これらの図の右側の資産運用部分の差なのです。
こう考えると、賃貸は手元に何も資産が残らないという直感のみに頼った指摘が正しくないことがわかります。
資産運用面で見た持ち家と賃貸の比較
持ち家の場合は、自分が住む家というただ1つの日本の不動産資産に、一度に数千万円という大金を投入する一点集中投資、しかも数十年に渡る長期投資という、かなりリスクの高い投資方法となっています。
一方、賃貸の場合はそういう制約が一切ありませんので、日本を含む全世界の投資資産(株式、債券、etc.)に任意の割合で資金を投入することができます。また投資をするタイミングも複数に分けて自由に選ぶことができます。更に売買も、不動産に比べれば容易な場合が多いです。
ただし、一般的な不動産投資は債券と株式の中間にあたるミドルリスク・ミドルリターンの投資と言われていますが、持ち家に自分が住む場合は空き室リスクや家賃滞納リスクは回避でき、価格が下落しても気にしないと我慢を決め込むことはできます。
このため、自分で住み続けるという前提が成り立つ限りは、持ち家がある意味ローリスク・ミドルリターンの投資と考えられるメリットはあると思います。
しかし自分でずっと住み続けられると言い切れない場合には上記の投資の性質から考えて、よほど不動産に関する目利きや先読みに自信を持っている人か、短期間の使用で資金を回収できる見込みの優良物件を見つけた場合以外は、持ち家を選ぶメリットはそれほど無いように思えます。
特に最近は大企業の正社員であっても必ず定年まで勤められるとは言い切れず、一箇所に定住できるかは不透明な時代になっていますしね。
賃貸の注意事項
ただし、賃貸を選んでも良いことばかりではありません。
賃貸では上記のようにいつ何に投資するか自由であるため、その分各人の資産運用能力が問われます。
上記の図の右側の部分で自由になる資金を投資に回さず消費してしまうような人は、持ち家派の人に「老後破産が心配」と揶揄されてもしかたないでしょう。
また投資先を考えるのが面倒なために資産を全部定期預金にしてしまうような人も、運用効率が不動産に比べて劣る可能性が高く、かなり危ういです。
賃貸の場合は住宅ローンの支払が無い分、しっかりと自分で考えて資産形成をしていくよう、若い時から計画的に行動を始めてください。
山○さんのブログでは 激しい論争になったようですが、私は、完全にアウェーの「空気」の所で、自説を述べられた、希有な日本人、勇気あるあなたを支持します。
持ち家の方が、認知的不協和になりやすいです。だって、今さら元に戻れないから。
ひでぼ○さんは、業界の人だし。
山○さんのケースは確かに、持ち家が得だったと認めますが、田舎の一軒家の話しであり、計算自体すばらしい方法だと思いますが、田舎には種銭を作る仕事がありません。だから、貸そうと思っても、借り手があまりいないでしょうね。すでに勝ち組の山さんに何も言うことはありません。リタイヤされた後は、田舎でも、ネットさえあれば株で儲けられますがね。だからといって、日本全国これからも、だれでも、そうだとは決めつけないで欲しいですね。確かに、田舎では、一戸建て持ち家が安いし、主流で、そもそも賃貸なんて物件がないですからね。
首都圏で馬鹿高いマンションが一般的なケースには当てはまりません。私は、首都圏で、持ち家賃貸両方で、探していますが、新築はおろか中古でも、マンションが馬鹿高くて、物件数も少なくて、賃貸の方が手頃なのが千以上もありますけどね。
山○さんの金持ちになる方法の前提の、同じ質で、ローン支払いが賃貸の半額の物件なんて、首都圏ではまず見つからないですね。もちろん、購入派が多少、有利なケースはあると思います。しかし、半額はない。首都圏の便利なところで、一戸建ては金額的にも無理だし、物件もあまりない。
あと、購入でもマンションと一戸建てでは、かなり違っていて、マンションは管理費と修繕積立金が毎月で、後者は値上がりするし、12年ごとの大規模修繕の時、一時金を取られることもあるし、何より、老朽化して建て替えの時、2千万くらい出費です。建て替えは40年ごとも100年後でもいいとか、なって見ないとわかりませんが。
あと、賃貸=大家さんの儲けにボランティアする損が主たる論拠のようですが、コメントにあったように、新築マンションの場合、業界の利益と広告費が2割乗っていますから、どっちもどっちですね。修繕費とか税とか、大家さんの利益が賃料に上乗せされるから賃貸不利というのは、転嫁率の問題ですが、昔はともかく、人口減で、不況で、空き家率が高い今では、そうそうフルに転嫁できていないと思いますよ。赤字操業もあるのでは。大家業も早く始めた人は儲かったと思いますが、最近ではよほど物件を絞り込んで、自分でリフォームとか管理をしないと黒字にはならないと思います。
加えて、首都圏だと、相続税を下げるために、自分の土地に、アパマンを建てる大家さんも多いので、その場合は、土地代とかは、ゼロコスト換算、経営もローンととんとんくらいでいいやの感じの物件も多いと思います。フルに転嫁した高い家賃だと空室のままになってしまうわけですから、すべては、需給関係で決まります。大家さんの希望するコストプラス利益の家賃と実際に借り手がつく家賃とは違います。
地方の木造一戸建てのケースでも、確かに、税法上の期間で暮らせなくなるわけではありませんが、40年50年たった家に、他人に借りてもらう価値や売却価値があるかというと、ないでしょうね。