以下のうように、ミクシィの赤字転落に伴う強引な人事が話題になっています。
いきなり研修部屋へ ミクシィ不可解人事 | 企業 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト
これに対して、アゴラで中嶋よしふみ氏が、整理解雇の四要件の厳しさなどを理由に、企業の雇用にセーフティネットの役割を求めるていることが根本的な問題である、とミクシィに同情的なコメントを寄せられています。
追い出し部屋が出来る理由。 ~ミクシィは悪くない~ : アゴラ – ライブドアブログ
確かに整理解雇のハードルは高い
整理解雇の四要件、すなわち
- 人員整理の必要性どうしても人員を整理しなければならない経営上の理由があること。
- 解雇回避努力義務の履行希望退職者の募集、役員報酬のカット、配置転換など、解雇を回避するあらゆる努力を尽くしていること。
- 被解雇者選定の合理性解雇対象者の選択基準が評価者の主観ではなく、合理的かつ公平であること。
- 解雇手続の妥当性解雇の対象者および労働組合などと十分に協議し、納得を得る努力を尽くしていること。
というのは雇用する側にとって大きな足かせです。しかし、これは元々労働者の立場を保護するために過去の判例や実績を積み重ねて作られてきた慣例であり、雇用される立場からすれば尊重されてしかるべきものと考えるのは当然です。
個人的には、一旦成された雇用は何が何でも守られるべきとは思っていません。終身雇用・年功序列を代表とする日本型雇用が崩れつつある現在、今後この整理解雇の四要件の運用方法も徐々に変わっていく可能性が高いと思います。
ミクシィ人事の問題点は
しかし、今回のミクシィの人事に内外から疑問の目が向けられているのは、人員を整理すること自体ではなく、人事異動の名を借りて不透明な人員整理を行おうとしていることに原因があると思います。
整理解雇の四要件にしても今に始まったことではなく、ミクシィが人員を拡大していく過程で既にわかっていたことです。にも関わらず、業績が悪くなった途端に要件達成に向けたろくな努力もせず、「適材適所の人事異動」という建前のもとに社員を実質的な指名解雇に追い込もうとしているところに不信感を感じずにはいられません。
責任ある企業の態度としては、人員整理をせざるを得ないのなら、少なくとも客観的で納得できる理由を社員に説明する最大限の努力をすべきです。また資金的に余裕があるなら、退職金割増しなど削減する社員の痛みを少しでも和らげる施策も打ってしかるべきだと思います。
ただ、雇用する側とされる側では意識・立場に大きなギャップがありますから、社員の理解を得るのは容易なことではありません。業績が悪くなってから急にやろうとしても簡単にはできないでしょう。日頃から相互に納得感のある評価・報酬制度の運用体制を構築するなど、事前の準備が必要になります。
日頃このような努力をせず、一旦業績が悪くなれば会社の利益最優先で裏技的な手段による人員削減に走る経営体質が明らかになった企業に対して、今後優秀な人材が集まるとは思えません。