先日、退職後の金の使い方のトレーニングで購入したと書きましたマンガ「龍-RON-」全42巻を昨日読み終えました。
感想など
購入当初はもう少し時間をかけ、じっくり味わいながら読むつもりでした。しかしこの作品を読み始めると予想以上に気持ちが高ぶり、他のことになかなか手が付かない状況に陥りがちでしたので、思い切って3連休の内に読み終えました。
満州国建国の頃から太平洋戦争終戦までの20年近い激動の時代を、実在の人物も交えながら見事に描き切った作品でした。作品自体も15年に渡って連載されたということで、最近では「JIN-仁-」で有名になった村上もとかですが、間違いなく彼の代表作となる一作だと思います。
日中に関わるある秘密を持って京都の華族 押小路家に生まれ、戦争という激流の中、日本と中国を含む全世界の人々が手を取り合って生きてゆける世界を夢見て、己の数奇な運命と闘い続けた男 押小路龍。彼を思いながら激動の時代を生きた2人のヒロイン 小鈴 と てい。物語は3人の生き様を紡ぐように綴られていきます。
龍の苦難に満ちた波瀾万丈の人生が本作のメインプロットですが、個人的には 小鈴と てい の生き方に一番ハマりました。
幼い頃から龍と互いに惹かれ合い、やがて彼と結ばれることを夢見ながら、芸妓という運命と龍の生き方を邪魔したくないという思いから、龍の叔父に妾として迎えられるという過酷な道を選ぶ小鈴。長い時間を経てようやく結ばれた、たった一夜の龍との思い出を彼と共有することが彼女の生きる支えとなるが、それさえも龍の記憶喪失によって失われてしまう。
東北の貧農から売られてやってきた東京を逃げ出し、龍の実家で奉公人として働きながら龍との愛を育み、やがて女優としての才能にも目覚めていった てい。実業家として頭角を表し始めた龍と自分の不釣合いに悩み、また自分の映画に懸ける思いにも気付き始めた彼女は、一旦龍との別れを決意する。しかし、無実の罪を着せられて行方不明になった龍を追って中国に渡り彼と再会を果たした後は、最後まで満州で映画に関わり続けながらも彼と運命を共にすることを選ぶ。
特に、悲運に翻弄され続けた小鈴の思いが、最後の最後で龍の孫によってもたらされた彼からの手紙によって救済されたことは、なによりの救いでした。
買ってよかった
前の記事でも書きましたように、本当に満足できる金の使い所をトレーニングしたい、という思いもあって買ってみた本作でした。現在の心境としては、本当に買ってよかったと思います。
おそらく、電子書籍を読み漁る今の生活をしていなければ、この作品には出会えていなかったような気がします。そう考えれば、金銭的には不安がある今の生活も悪くはないな、という気がしてきます。
このような心を揺さぶられる作品にまた出会えるよう、電子書籍との付き合いはこれからも続けていきたいと思います。