先日新型MacBook(12インチRetina)の「ナイス!」と「う〜ん?」の記事を書いて以来、購入の検討を続けている新MacBookですが、やはり最大のネックはUSB-Cポート1つのみという拡張性の無さです(お値段の方はとりあえず目をつぶるとして)。
キーコンセプト「ワイヤレス」
一方、Appleがこの新MacBookで打ち出しているキーコンセプトの1つが「ワイヤレス」です。
Appleのページではこう記述されています。
新しいMacBookは、ワイヤレス化がますます進む世界に手間なく対応できるように設計されています。最新のWi-FiとBluetoothワイヤレステクノロジーを最大限に活用したAppleのソフトウェアがあるため、あなたがノートブックでするほとんどすべてのことは、ワイヤレスでできるようになりました。インターネットに接続する。ファイルを転送する。写真を整理する。音楽を聴く、などなど。どこにいても、ケーブルに縛られることなく、あらゆることを行えます。
史上最小・最軽量のMacBookを使う上で、この提案は魅力的です。本当にワイヤレスな環境を実現できれば、iPadのような手軽さで高機能なMacBookを使うことができるのです。
自分は以前に13インチ版のMacBook Airを使っていたことがあります。今回の新MacBookより一回り大きく、重量も重い筐体でしたが、それでもケーブル無しでの使用には何ともいえない爽快感がありました。その経験からも、この新MacBookでの「ワイヤレス」というコンセプトには期待が膨らみます。
完全ワイヤレスを実現する方法
ところが発表された新MacBookの実際のスペックを見てみると、そこには厳しい現実が待っています。
Appleがこの「ワイヤレス」というコンセプトを実現するために提供するものは、Wi-FiとBluetoothというありふれた無線インターフェースと、たった1つに絞りこまれたUSB-Cポートのみです(後者は制限とも言えます)。
つまりこれらの限られたパーツを使用してワイヤレス環境をいかに構築するかは、ユーザー側の努力に委ねられているわけです。
おおまかな選択肢としては、外部機器に頼らず本体とクラウドのみでオペレートできるように使い方を見直すか、NASやBluetoothキーボードのような無線インターフェースの外部機器で回りを固めるという2通りの方法が考えられます。
自分の環境で完全ワイヤレス環境を実現するには
自分が今使用しているMacBook Proには、データ保存用とTimeMachineバックアップ用の2台のHDDをUSB接続しています。
現在の使用状況を考えると、これらのHDDはいずれも切り捨て不可能であり、また機能的・容量的に考えてクラウドに代替させることもできません。
従って、残る手段は何らかの機器を利用してこれらのストレージにワイヤレスで接続することです。
TimeMachineに対応している大容量NASを導入することも考えられますが、それにはかなりコストがかかります。
N-Transferによる完全ワイヤレス環境の試作
そこで引っ張り出してきたのがN-Transferというデバイスです。
これはNTT西日本が提供しているデバイスサーバーと呼ばれる機器の一種で、自分はフレッツ光回線を使用していた時に貯まったポイントで貰ったままお蔵入りにしていたものです。
このデバイスにUSB機器を接続すると、それに対してLAN回線経由でアクセスできるようになるUSB-Transferという機能があります。
ただし、N-Transferに直接接続できるのはUSB機器1台のみです。自分の場合はHDDが2台必要ですので、この際持っていなかったUSB3.0対応のUSBハブを購入することにしました(N-TransferはUSB2.0にしか対応していませんが、HDDは電力を食いますし今後のことも考えてUSB3.0対応のものにしました)。
購入したのは以下です。Amazonで約2,500円と、USB3.0のハブもいつのまにやらかなり安くなっていました。
これらを使用し、機器を以下のように接続します。
- MacBook Pro
↓ WiFi - 無線LANルーター
↓ LANケーブル - N-Transfer
↓ USBケーブル - USBハブ
↓ USBケーブル - HDD
この環境で、MacBook Pro上にSX Virtual Linkというドライバソフトを導入すると、N-Transferに接続したUSB機器が仮想的にMacBook ProにUSB接続されているように見えるというわけです。
以前に試した時には動きがかなり不安定でしたが、N-Transferの製造元と思われるサイレックス・テクノロジーのサイトから最新のSX Virtual Linkをダウンロードしたところ、安定して接続できるようになりました。
実際にHDDへのアクセスを試してみると、直接USB接続した場合より速度はかなり落ちるものの、通常のHDDアクセスおよびTimeMachineバックアップが動作することが確認できました。
ただこの手の環境はしばらく使っているうちに色々問題が起こることも多いため、もうしばらく様子を見たいと思います。
もしこの環境が実用に堪えるようであれば、手持ちの機器だけで完全ワイヤレス環境が実現できることになり、また新MacBook購入への道が一歩近づいたことになります。
なおN-Transferは既に販売終了していますが、同様なデバイスサーバーが上記のサイレックス・テクノロジーやIOデータ・バッファローなどから発売されています。例えば以下など。