確定申告の準備もほぼ終わったと思っていたのですが、もう1つ考えなければならないことがありました。
それは仮想通貨の損益計算に移動平均法と総平均法、どちらを使ったほうが良いのかということです。
移動平均法と総平均法
仮想通貨の取引による損益計算を行うためには、まずその仮想通貨の取得単価を求める必要があります。それを計算する方法が移動平均法と総平均法です。
移動平均法は来年もtax@cryptactを使うためにやっておくべきことは?でも少し書きましたが、仮想通貨を購入するたびにその時の価格と数量を加味して取得単価を再計算していく方法です。
一方総平均法の方は、年間の総購入金額と総購入数量から取得単価を計算する方法です。
国税庁の見解としては移動平均法を使用するのが妥当だが、継続して適用するなら総平均法を使用しても構わない、ということになっているようです。
実際の数値を試算
とりあえず感覚をつかむために、移動平均法と総平均法を使った場合の各々の損益額をtax@cryptactで出してみることにしました。
tax@cryptactは設定の中の「仮想通貨・算定方法」を変えるだけで移動平均法と総平均法を切り替えることができます。
また今年の損益額の参考にするため、2018年に入ってからのbitFlyerの取引履歴も取り込んだ状態で試してみました。
まず移動平均法で計算した結果が以下です。
一方総平均法で計算した場合はこうなりました。
ずいぶん違うものですね。2017年は仮想通貨が全般的に上昇相場でしたので、年平均で計算する総平均法の場合は年前半の売却時に損益計算がマイナスになることが多く、結果としてこのような値となっているようです。
一方翌年の2018年分の損益については、前年の取得単価が低く計算された総平均法の方が若干高くなっています。
どちらを選ぶべきか
上の数字だけをみれば総平均法で申告したいところですが、翌年以降も継続利用することが条件ですので今回の結果だけを見て判断することはできません。
そこで考えてみましたが、私の場合仮想通貨はホールドが基本ですので、長期的には価格が右肩上がりでないと勝算がありません。
この期待通り右肩上がり(少なくとも長期下落に転じない)前提であれば、利益が先送りされる傾向がある総平均法は先に行けば行くほど利益額が大きくなり、移動平均法より税負担が増していくものと思われます。
しかしまあその時は仮想通貨の価格が上昇していますので実際利益が出ているはずですし、税負担が大きくなるのはそれまでの負担を絞ってきたことの裏返しでもありますので、これは受け入れるしかないでしょう。
一方期待に反して仮想通貨が長期下落に転じてしまった場合には、どこかで手じまいする必要も発生するかもしれません。
この場合は実際の損益がストレートに反映される傾向がある移動平均法の方が一気に多額の損失が計上されそうです。
言い換えると、移動平均法は調子が良いときには多額の利益、調子が悪いときには多額の損失というメリハリの利いた動きになる可能性が高そうそうです。
長期的なトータルで見た損益は移動平均法でも総平均法でも同じところに収束していくはずですが、こと税金計算となるとまた話は違ってきます。
1つの要因は仮想通貨の損益の扱いが雑所得であり、他の所得と損益通算ができないことです。したがって大幅マイナスは他の雑所得でプラスが無い限り、税計算上は何の役にも立ちません。
もう1つの要因は雑所得にかかる所得税の税率が累進課税であることです。従ってプラスが一気に出ると税率が上昇する可能性があります。
もっともこれは上で述べた上昇相場が続いて総平均法の利益額が大きくなっていった場合などには、総平均法の方に不利に働く場合もありそうですが。
以上のようなことを総合的に判断し、私の場合はやはり総平均法でいってみようと思います。