インデックス投資の御意見番、梅屋敷商店街のランダム・ウォーカーさんに以下のような記事がありました。
「経済的な合理性はなく、それをしないと経営が成り立たない販売会社には社会的な存在意義がない」(金融庁幹部)
元の情報は日経新聞電子版の有料記事のようなので私には読めません。したがってこの記事の内容だけからの理解になりますが、いつまでも短期の回転売買や毎月分配型投信に依存した手数料商売から脱却できない金融機関に対して、金融庁幹部が厳しい意見を述べたようです。
誰のための経済的合理性
投信の回転売買や過度な分配金について「経済的な合理性はなく、それをしないと経営が成り立たない販売会社には社会的な存在意義がない」とバッサリと切って捨てたとか。
自分も先日、毎月分配型投信で金融機関が甘い汁を吸うのもそろそろ限界かで毎月分配型投信販売について批判的な記事を書きましたが、監督官庁の幹部がグレーゾーンの事項に関してここまではっきりものを言うのは珍しいですね。よくぞ言ってくれた、という感じです。
少なくとも顧客観点に立てば、投信の回転売買や度を越した分配金を出す投信に手を出す経済的合理性はありません。仕組みがわかっている人は高い手数料の分だけ損する可能性が高いので元々手を出しませんし、仕組みがよくわからない人はそもそも手を出すべきではないからです。
売買で手数料を儲けるという観点では金融機関側には経済的合理性があるのかもしれませんが、顧客の理解不足につけ込まなければ商売が成り立たないようでは社会的存在意義がないと言われてもやむを得ないでしょう。
自己責任では割り切れない
こういう話をすると、欲に目がくらんでそういう商品を買った客側にも責任はあるだろう、という話がよく出てきます。確かにそういう場合もあるにはあるのでしょうが、金融機関の営業活動はもっと広範囲かつ狡猾です。
これは実際に私が経験した話ですが、実家に帰省した折に母が定期預金を作りたいというので、車に乗せて銀行までつれていきました。
銀行内で手続きが済むのを待っていると、投資商品の購入を勧められたがよくわからないので一緒に話を聞いて欲しいと母が呼びに来ました。
話を聞いてみると、10年満期である条件を満たせば高額な配当が出るが、満たせなくても10年間預け続ければ元本は保証される商品ということで、パンフレットには過去の配当実績が示されていました。
その場では自分もよく理解できなかったので、よくわからないものには投資すべきではないと言って予定通り定期預金にさせましたが、母は元本が保証されるなら預けてもいいかとかなり傾いていたようです。
帰ってネットで調べてみると、その商品は過去には良い成績を納めていたものの、最近はほとんど配当が出ていない商品のようでした。もし勧められるままに購入していたら、元本保証とはいうもののほぼ無利子で10年間資金を人質にとられ、やむを得ず途中で資金が必要になった場合には大幅な損失が出る、という事態になっていたのではないかと思います。
ここで注目すべきは、母は決して儲けたいと思って銀行に行ったのではないということです。ただ定期預金を作りたかっただけなのですが、行きつけの銀行の行員に熱心に勧められ、元本も保証しますと言われれば、特に老人などはきっぱり断れる人ばかりではないのです。
証券会社ではなく、ただの地方銀行の窓口でさえこんな感じです。
もちろん客側も賢くならねばなりませんが、最近の金融商品は素人が理解するにはあまりに複雑なものが多く、その割に金融機関はそういう商品を平然と誰にでも売り込んできます。
このような商品のリスクに関する更なる教育・啓蒙と、場合によっては販売ルールに関する指導・規制はある程度必要なのではないかと個人的には思います。
いいお話ですね。日経の記事は無料の会員登録をするだけで毎月10本まで無料で読めますよ。さっき読んできました。