仕事を辞める場合、ある月いっぱいまで働いて月末に退職することが多いかと思います。
ここで、会社側が月末の前日などを退職日にしてくれ、と言ってくる場合があります。表面上の理由はいろいろあるようですが、代表的なパターンとして以下の2つでしょうか。
- 月末は土日などの休業日なので、その前の日を退職日にしてくれ
- 月末前に退職すれば、退職月の社会保険料が給料から引き落とされないで済む
私の場合は1番目のパターンを言われました。また2番めのパターンは、一見退職者のために言っているように聞こえますが、いずれにしてもこの種の提案・依頼に安易に乗ってはいけません。
会社に勤めている時に支払う健康保険や厚生年金などの社会保険料は、日割りではなく月単位で徴収されます。そして、資格喪失日を含む月(資格喪失月)には徴収されないことになっています。
ここでポイントなのは、資格喪失日が退職日の翌日だということです。従って、月の末日に退職すれば資格喪失月は翌月になりますが、末日より前に退職すれば退職した月が資格喪失月になります。
そうすると上の2番めのパターンで言っていることはある意味正しく、月末より前に退職すると、退職月の健康保険や厚生年金は会社に天引きされません。
ではそれで得したことになるのかというと、そうではありません。健康保険や厚生年金が引き落とされない代わりに、退職月から自分で国民健康保険や国民年金の保険料を支払うことになるのです。
ご存知のように会社勤めの時の健康保険や厚生年金は会社が半額負担しています。それが国民健康保険や国民年金になりますと、全額自己負担になりますのでかなり個人の負担が増える場合が多いのです。
会社で経営や人事に携わっている人がこのことを知らないはずはありませんので、この種の話が出てきたときには、会社の経費負担を少しでも減らすために言っていると思ってまず間違いないでしょう。
私の場合、月末を退職日とするよう会社と調整しましたがなかなからちが明かず、結局最後は労働基準監督署まで相談に行ってやっとケリが付きました。
原則として自己都合で退職する場合、退職日を決める権利は退職者側にあります(退職日が営業日かどうかは関係ありません)。ただし、この点については本来、会社と労働者が話し合って決めることであり、労基署でも強制的な指導はできないそうです。
とはいうものの、やはり会社は表立って労基署と対立することは望まないようで、労基署の相談員に会社に電話してもらった後は、すんなり月末退職で手続きが進みました。
自分の会社はそういうことを言い出しそうだがあまり揉めたくはないという場合には、最初から月末が土日などの休業日の月の退職は避けておくというのも1つの手です。