今朝Twitterを見ていたら、以下のようなツィートが流れてきました。
読書時間の8割が文字認識ではなく眼球が文字を追いかける運動に費やされてることに着目して眼球運動をゼロにして速読できるようになるアプリ。英文論文や記事を恐ろしいスピードで読めるので、超オススメ。 もう紙やブラウザはダルくて長文読めない pic.twitter.com/BqSX2KLloc
— あまん (@buddhobhagavan)
英文を超高速で読むアプリ「Spritz」
ツィートの内容はすごそうなのですが、実態がよくわからないのでネットで調べてみると、GIGAZINEさんの以下の記事が見つかりました。
単語が目に飛び込んできてすごい速度で文章を読めるようになる「Spritz」 – GIGAZINE
文章を読んでいる時間のうち実に80%が物理的に眼球を動かすことに費やされており、実際に文章を読解する処理には20%の時間しか充てられてない
という部分が上記のツィートの話ですね。
これに対して、英単語を1ワードずつ高速で表示すれば視線を一切移動すること無く高速に英文を読める、というのがこのアプリの原理のようです。
またそれだけではなく、単語ごとに決まっている脳が理解を始めるための文字 ORP(Optimal Recognition Position:最適認識位置)の色を変え、さらにそれが表示される位置を画面上の一点に固定する、などの工夫によってより速い単語認識を可能としているのだとか。
なるほど、これなら慣れれば相当早く英文が読めそうです(もちろんそのスピードに耐えられるだけの、英語の語彙力と読解力は必要ですが)。
そういえば、以前に新型Fireタブレット登場、プライム会員なら実質4,980円からで書きましたFireタブレットの新iOSにも、これとよく似た原理と思われる「Word Runner」という機能が新たに搭載されていました。
日本語に応用するためのインスピレーション
この「Spritz」は英語以外にドイツ語・フランス語・スペイン語・ロシア語などに対応しているようですが、残念ながら日本語には対応していません。
韓国語の対応が進められているようですが、日本語の場合は短い文節をキレイに切り出すのに独特の技術が必要になりますので、下手したら中国語や韓国語より難しいかもしれません。
したがって「Spritz」は、当面日本語を読むのには使えそうにありません。しかし何とかこの技術を日本語に応用できないかと考えていて、あることを思いつきました。
それは単語単位とはいかないまでも、1画面に表示される文字数を制限すれば、視線の移動が減ってある程度同じような効果が得られるのではないか、ということです。
上記のGIGAZINEさんの記事にも
人間の目が一度に認識できるのは13文字程度という研究結果が出ており、それ以上になると視線の移動が始まることが明らかになっています。
という記述があります。
そこで最近寝起きに本を読むようにしたら何となく調子がいいで書きましたように、寝起きに本を読んでいるKoboリーダーのフォントサイズを調整し、1行に表示される文字数を13文字程度に調整してみたらどうなるだろう、と試してみました。
最初は文字が異様に大きく見えて違和感がありましたが、実際に読み始めてみると以前より速く読めることが実感できました。
さすがに視線移動ゼロというわけにはいきませんが、一行がほぼ一度に目に入ってきますので、縦書きであれば視線を横にずらすだけで済む感覚です。
また、文字が大きくて視線の移動も少なくなりますので、目への負担も軽いようです。
その分ページをめくる回数は増えますが、それがまたよいペースとなって、スバスバ読み進められます(ボリュームボタンなどのボタンでページをめくれるようにしておくと、よりテンポが良くなります)。
私も今日から始めたばかりのやり方ですので効果の程はもう少し様子を見る必要はありますが、今のところはすっかり気に入りました。
フォントサイズを調整できる機能さえあれば、どの端末でもどのショップの電子書籍でも実践できますので、よければ試してみてください。
不思議なセレンディピティ
上の写真の端末はやけに小さく見えると思いますが、これはイー・モバイル(現Y! mobile)のHTC Aria S31HTという機種です。サイズは57.7mm × 103.8mm(名刺より一回り大きいくらい)で、スマホにしては超小型のAndroid端末です。
5年ほど前にイー・モバイルと契約してテザリングなどに使用していたものですが、最近は使い道がなくなって部屋の片隅でホコリをかぶっていました。
それを今更引っ張りだしてきたのは、実は最初に述べたツィートを見かける前の昨日で、目的はファームウェアアップデートでKobo GloがPocketリーダーとして復活で書きましたPocketのリーダーとして使えないかという単なる思いつきでした。
結局OSのバージョンが古すぎてPocketアプリは動かなかったのですが、その翌日に上記のようなインスピレーションを受けて予定外の読書端末として生まれ変わることになりました。
ディスプレイの解像度は480×320しかなくサイズも3.2インチという超低スペックですが、それが特大フォントで表示文字数を制限するという今回の用途にピッタリなのでした(今時の5インチ以上の機種だと、文字が大きくなりすぎて逆に違和感が増します)。
また超小型・軽量という点も、リーダーとしては特筆すべきメリットになります。
というわけで、数年も放置していた機体をたまたま引っ張りだしてきた翌日に新たなピッタリの活用方法が見つかるという、不思議なセレンディピティ体験となりました。