今週頭に今話題になっています映画「この世界の片隅に」の原作コミックがKindleでポイント50%還元になっているという情報を目にし、買ってみることにしました。
本作は上・中・下巻の全3巻ですが、実は上巻は大昔にKindleで無料公開になった時にダウンロードしていましたので、今回は中巻と下巻の2冊のみの購入となりました。
ストレートではなくじんわり伝わってくる戦争の悲惨さ
本作は広島生まれのすずさんという女性が太平洋戦争末期に18歳で呉に嫁いでから2年後に終戦を迎えるまでが主なストーリーです(前日譚としての少女時代の話も若干ありますが)。
映画が評判になってからネット上でもあちこちで話題になっていますので、あらすじなどを細かくは書きませんが、主な舞台が軍港の町 呉であること、そして呉は広島と隣接していることから当然空襲や原爆投下の話も出てきます。
そしてすず自身の身の回りでも兄は戦死し、義理の姉の子はすずの目の前で爆弾の犠牲となり(この時すずも片腕を失う)、さらに原爆ですずの両親も亡くなります。
しかし本作ではそれらの悲惨さよりも、そのような状況下でもたくましく生きていく人々の姿の方にフォーカスを当てていきます。
一部では映画が「日常系」のアニメなどという評価も出ているようですが、戦時下での庶民の生活の細やかな描画が秀逸ですので、そういう話が出て来るのも頷けなくはありません。
ただ、だからこそそういう人々のささやかな生活を徐々に歪め、じわじわと蝕んでいく戦争の悲惨さも感じずにはいられません。
3回読み返し
私は買った直後に3巻一気に読破しましたが、それだけでは飽き足らずに今週だけで3回読み直しました。特に最終巻の下巻は3度目でもまだ胸にくるものがありました(我ながら涙腺がゆるい)。
こんな気分になったのは、一気買いしたマンガ「龍-RON-」がよかったで書きました「龍-RON-」以来です。またこういう作品に出会えたことを感謝したいと思います。
あと読み返してみて初めて気がついたのですが、登場人物の過去における接点がいくつか伏線として散りばめられています。
また作中で当時の世相を語るものとして隣組の唄とかイロハかるた、人生相談の内容などが唐突に挿入されることがありますが、これもよく読んでみるとただのコラム的な存在ではなく、登場人物の思わぬ秘密や心情が隠されていたりします。
軽く読み飛ばしていると気がつかない可能性もありますので、本作はやはりじっくり読み込んでみてほしいところです。
残念ながらKindleでは現在ポイント50%還元が上巻のみとなり、中巻・下巻は20%還元となっていますが、ぜひ読んでみていただきたい作品です。
映画も観てみたいが
また映画についても予告編をYouTubeで観てみましたが、原作を読んだ後だとこの短い映像だけでも胸にこみ上げてくるものがあります。
映画の方も是非観てみたくなりましたが、徳島では現在上映している映画館が無いみたいですね、残念。