SIMフリー版iPhoneは高いのか?

以下の記事を読みました。

ソフトバンク孫氏、SIMロック解除に「総務省の意向に従うが、極端に流れは変わらない」 – CNET Japan

総務省が進めようとしているSIMロック解除に関するガイドラインに対する、ソフトバンク孫社長の見解の記事です。

孫社長が述べている「もしSIMロックが外れても、極端に流れが変わることはない」という見解自体については自分も同感です。

SIMフリー版iPhoneは高い?

しかし、孫社長がその理由は価格にあると述べている点については違和感があります。

孫社長曰く、

「SIMロックのかかっていないものが欲しいという意見があったが、現にたいして売れていない。大手3社が多くの(ユーザー)獲得費用として補填をし、お客様に売っているというのが実情。SIMロックフリーの端末はアップルから仕入れた値段のままで売る。つまり高い。SIMロックがかかっていないからという理由だけで、わざわざ7万、10万を出して買うユーザーは、ほとんどいなかった」

とのこと。はたしてこれは本当でしょうか。

実際のソフトバンク版iPhone6とApple版SIMフリーiPhone6の税込価格を挙げてみます。

  • ソフトバンク版iPhone6(一括現金販売価格)
    • 容量16GB:70,080円
    • 容量64GB:83,280円
    • 容量128GB:94,080円
  • Apple版SIMフリーiPhone6
    • 容量16GB:73,224円
    • 容量64GB:86,184円
    • 容量128GB:96,984円

Apple版の方が若干高いですが、その差は3,000円程度です。これではソフトバンク版を選ぶ決め手になるとは思えません。

孫社長としては月月割で「実質」無料になる(16GB版の場合)から安いといいたいのかもしれませんが、その恩恵をフルに受けるには2年縛りの間、高い携帯料金を払い続けなければならないことを忘れてはいけません。

これはソフトバンクだけではなく携帯会社全般ですが、昔からやっているこの手の割引で機種代金を安く見せようとする手法は、そろそろ限界ではないでしょうか。

スマホのコストパフォーマンスは機種代金と通話・通信料金のトータルで見る必要があります。それに、どうせ月月割は月々の通話・通信料金からしか割り引かれないのですから、最初から通話・通信料金に対する割引と捉えたほうが自然です。

ちなみにソフトバンクの代表的な通話・通信料金を月額で見てみると、一番データ通信量が少ない2GBのパック選択時でも

  • 基本プラン(2年契約時):2,700円
  • S!ベーシックパック:300円
  • データ定額パック(2GB):3,500円

と、毎月6,500円もかかります。ここから月月割で2,920円(16GB版の場合)が差し引かれても、月額3,580円です。

一方、最近盛り上がっているMVNOの格安SIMであれば、音声通話付きで2GBまでのデータ通信可能なものでも月額2,000円前後のものがいくつもあります。

これらを2年間使い続ければ、通話料がかなり多い人でない限り、機種代金の3,000円程度の差などはあっさり打ち消されて、SIMフリー版iPhone+格安SIMの方が安くなります。

ソフトバンクであれば、その他にものりかえ割などの割引もありますが、一時的なものですのでランニングコストの差は完全には埋まらない場合が多いでしょう。

こんなことは百も承知なはずなのに、大した根拠も示さずにSIMフリー版端末は高いから買うユーザーはほとんどいない、などとさも当然のように言い切ってしまうところが、自分が今一つ孫社長を信用できない理由です。

SIMロック解除よりも格安SIMに注目

最初の話に戻りますが、自分もSIMロックの解除が義務付けられただけでは業界に大きなインパクトは無いと思います。2年縛りが残っていてはその恩恵を十分に生かせないことと、大手キャリアの料金にほとんど差がないためです。

それよりも業界を動かす可能性があるとしたら、それは上でも書きましたMVNOの格安SIMの動向ではないでしょうか。

格安SIMは今はまだ一部マニアのための製品というイメージも根強いですが、最近は家電量販店の格安SIMの売り場でも高齢者などの姿が目立つようになってきたと聞きます。

価格競争を伴って進化する格安SIMの市場が、横並びの料金体系にあぐらをかいている大手キャリアの牙城を切り崩し始めるのも、それほど遠い未来ではないかもしれません。

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