少し前に持ち家派の人がブログで、ほろ酔い気分で嘆いておられるのを見かけました。
自分は実経験から持ち家を勧めているのに、頭でっかちで家を買ったこともない人に色々茶々を入れられるのがお気に召さないようです。
経験は知識に裏打ちされてこそ意味がある
その方はスポーツを例に出して、実際にやったことがない人にどうこう言われても、というようなことを書かれていました。
確かに実際に経験してみないと分からないことはあると思います。しかし経験していなくても、これはちょっとおかしいのでは?とわかることがあるのもまた事実です。
一流のスポーツ選手が後進を指導するにあたって、自分の過去の経験を元に関節や筋肉を傷める恐れのあるウサギ跳びを強要したり、今や常識となっている練習中の水分補給を禁止したりしたら、周囲の素人からさえ非難を浴びるのは必至でしょう。
いかに成功経験があったとしても、その分野の常識は刻一刻と変化しますし、経験だけで全ての知識が身につくとも限りません。
正しい知識の裏打ちがなければ、経験のみによる指導は危険なものとなるでしょう。
こんな持ち家派には気をつけろ
というわけで家を買った経験が無いとしても、その言動から気をつけたほうがいいと思われる持ち家派の人を見分けるための特徴をいくつか挙げてみたいと思います。
自分の経験したことをそのまま勧める人
まず上に書いたこと、そのままです。
持ち家派の人の話を聞いていると、家賃相場の半額のローン支払いで家を手に入れたとか、最初に買った家を賃貸に出して今はその家賃で別の家に住んでいるとか、色々と武勇伝が出てきます。
確かにご当人はその方法で成功されたのでしょうが、人に勧めるなら「これから」「誰でも」再現できる方法論も一緒に提示されないと実践することはできません。
しかしそういう武勇伝を語る人に限って、具体的に家を買う方法については「過疎地を避ける」とか「売りやすく貸しやすい家を選ぶ」というような一般論レベルのことしか言わない場合が多いです。
これらの武勇伝を聞くにあたっては、同じことを「これから」「自分が」やれる情報が提示されているのか、そしてそれをやった時に「これから」「自分も」同じ結果を得られるのか、ということを慎重に見極める必要があります(下の統計の話も参照)。
「持ち家を買えば資産が確実に手に入る」と言う人
持ち家のローンを払い終えれば確実に資産が手に入るという幻想で書きました件です。
持ち家を買って人に勧めるレベルの人は株式投資なども経験されている場合が多いので、株であればそれが手元に残っていても、買った時より値下がりしていては意味が無いということは重々承知されているはずです。
しかしなぜか持ち家に限っては、買った時より不動産相場が下がっても手元に残ることが絶対的なメリットであると盲目的に信じておられる方が多数いらっしゃいます。
また、ちゃんと物件を選べば値下がりすることなど想像できないと言われる方もおられますが、物件の目利きだけでは相場の大きな流れに打ち勝てない場合があることは素人目にも明らかでしょう。
「賃貸で一生家賃を支払っても手元に何も残らない」と言う人
「賃貸で一生家賃を払い続けても手元に何も残らない」は本当か?で書きました件です。
賃貸の人は家を買わない分 資金を他の資産に投資できますので、決して何も残せないわけではありません。
また持ち家派の人には、賃貸派はリスクを嫌うあまり定期預金しか持っていないと思い込んでいる人もいるようですが、もちろんそんなことはありません。
ちゃんと将来を考えている人は、日本や世界の株式や債券などに分散投資するなど、不動産一本槍より安定性があると思われる手法で、それなりのリスクを取って資産運用しているはずです。
「持ち家を買えば家に関する心配が無くなる」と言う人
たとえ持ち家を買ってローンを支払い終わったとしても、家の維持費は住み続ける限りかかります。その総額は安くても数百万円、高い場合は数千万円にも登ることもあります。
持ち家は初期の負担が高めで後半が低め、賃貸は比較的負担が均等という違いはありますが、決して持ち家でも購入費以外ノーコストで暮らせるわけではないのです。
特に長く住む場合は、人生後半に高い維持費が発生する可能性がありますので、その点は十分考慮しておく必要があります。
またたとえ自分では維持費までしっかり考えていたとしても、マンションや住宅地全体などで周囲の環境が悪化し始めれば、自力ではどうにもならなくなる可能性もあります。
持論の根拠として過去の統計情報をそのまま持ち出す人
今築30年の物件と、これから買う物件の30年後は同じではないで書きました件です。
持ち家を熱心に推奨する人ほど、持論の根拠として過去の統計情報を持ち出す傾向があるように思います。
しかし上の記事でも書きましたように、過去の統計は将来の動きを保証するものではありません。
まして持ち家を買うことは数十年の長期投資であり、将来を予想することは難しいです。安易な過去の統計ベースの話が将来にも通用すると思い込まないよう、十分注意する必要があります。
「家を買っても他の資産にも投資できる」と言う人
持ち家の日本の不動産物件への一点集中投資というリスクを指摘すると、住宅ローンを使っていれば資金は手元にあるので、他の資産にも投資できると反論する方もおられます。
しかしそれは、借り入れの仕組みを使って一般の人が稼げる以上の資金をリスク資産に投入した状態であり、持ち家のみ、あるいは他の資産のみに投資している場合に比べて過剰なリスクを取った状態です。
今どき借金をして株を買ったり、高レバレッジでFXや信用取引を行ったりするのは一部の過激な投資家くらいのものですが、持ち家が絡むとそういうことを平気で考えてしまうところがある意味恐ろしい点です。
こんにちは。
結局みんな自分の経験を自慢したいだけなのかもしれませんね。そうしないと、自分自身の行動を合理化出来ないのでしょう。